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高等部入試 [記事]

 中学部の生活も残りわずかになり、高等部という次のステップに踏み出す
時期が近づいてきました。
 こうきの通う養護学校では、中学部の生徒ほぼ全員がそのまま高等部に
進学するのですが、その前に控えているのが「入試」(入学選考)です。

 この「入試」に向けて、3年生は早くから準備をしていました。
面接に備え、正しい姿勢、入退室の仕方、あいさつ、質問に答えること、
などなど練習を積み重ねてきました。親としてはそんなことできるの?という
感じだったのですが、その子なりに、入試ということが理解できて、少しずつ、
がんばろう、という気持ちが高まってきたようです。
 こうきは、中学部で頑張ったことの質問に対して「作業学習がんばりまし
た!」としっかり答えられていたようで、先生からは、こうきくん、毎回とても
積極的に練習に取り組んでいましたよ、と誉めてもらっていました。
 前日は持ち物も準備万端、「あしたは高等部にゅうし。たのしみ!」と余裕の
表情でした。

 入試当日、お兄ちゃんの中学のときの制服を借り、着てみるとぴったり。
まだまだ幼いと思っていたけれど、改めて、中学三年生だったんだ、とはっと
させられました。本当なら、この制服の中学に通っていたのかな、と思ったり
もして・・・。

 その後、あわただしく車で学校に向かいました。さて降りよう、と後部座席を
見ると、こうきのリュックがない。いつもなら自分のリュックはしっかり持って出る
のに、今日は「わすれちゃった、」と言うのです。
 母は青くなりました。やってしまった。中には今日必要な体操着と筆箱が入
っているのです。
 あわてて二人で受付に走りました。こうきを先に置いて、自分は荷物を取りに
帰るつもりでした。担任の先生も昇降口で控えていて下さったので、事情を話し、
一緒に受付の先生に伝えました。
 すると、先生方考慮して下さり、今日は体操のようなことはしないので、着替え
なくていいです、筆記用具も用意します、とのこと。ほっと胸をなでおろしました。
 
 そこからは、本人と保護者は分かれて選考が始まったのですが、その後のこう
きはパニックにもならず、とても落ちついていたそうです。友達たちの着替えを
最後まで見届けた後、最初の全体会の時に、何か質問は?と聞かれ、
「ぼくは体操着をわすれました。体操着なくても大丈夫ですか?」
すっと手を上げて聞くことができたと、後でこうきに付いてくれた先生が教えて
くれました。

 その先生が、「見てください」と一枚の紙を差し出しました。
それは、中学部で楽しかったことがんばったことなどの思い出を書く課題で、
そこには、こうき特有の震えたひらがなが、最後のマスまでびっしり埋まってい
ました。
 残念ながら、判読可能なのは最初の二、三行だけでしたが、修学旅行のことが
書かれてあるのはわかりました。
 「本当に一生懸命書いていて、なんだかジンとしちゃって。」
と先生。私もうなずきました。
とても文章など書けるはずもないこうきですが、なんとか書こうとした。そのことが、
ただひたすら嬉しかったのです。
ハードルが高いような気がしていましたが、こうきもちゃんと入試の経験ができた。
本人なりにひと回り大きくなれた、貴重な経験でした。

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サンタさんはどこから [記事]

年も押し迫ってきましたが、クリスマスのことを少しだけ・・・

・・・去年のクリスマスは、あらかじめ欲しいものがお母さんから手渡されて、24日の夜は
サンタは来なかったのだっけ。
ボクは希望通り、仮面ライダーベルトがもらえたから、嬉しかったけれど、妹のれーちゃんは
朝起きてきて、サンタが来なかった、と少しがっかりしていた様子だった・・・。

そんなことから、今年は一応ツリーの下に、プレゼントを用意してみました。
25日の朝、起きてきたこうき、しばらくプレゼントの袋には気がつかない様子でした。
だいぶ時間が経ってから、リボンの袋を提げて飛んできて、
 「なんか、ありました!」
こちらは、何食わぬ顔で
 「お、プレゼントかな?」
慌てて開けるこうき、目下お気に入りの妖怪ウオッチのついたタオルや箸などが出てくると、
ぴょんぴょんはずんで嬉しそうな様子。
 「サンタさん、来ました」
・・・そうだね、来たんだね。
 「サンタさん、何時来ましたか」
・・・何時だろうね、夜中だな。2時かな、3時かな?
 「お母さんは、サンタさん会いましたか」
 「サンタさんどこから来ましたか。玄関から来ましたか」
・・・ううん、おかあさんは会ってないんだよ。

それから何度も「サンタさん、来ました」と言う笑い顔に、まだ信じていたのか、とこちらも楽しく
なりました。
妹の方も、包みを前に、ありがとう、とニコニコしています。
信じていても、信じていなくても、思いがけないプレゼントは嬉しい。
サンタの力は大きいものですね。


指しゃぶりとゴミ出しと [記事]

この間、担任の先生に言われて気づきました。
 「こうきさん、学校では指を口に入れることが全く無くなったのですが・・・」
そういえば、と家での様子を見ていると、確かに・・・指が口元に行きません。
以前は、何もすることがない時、テレビを見ている時、眠たくなった時、などに
指しゃぶりがありました。
指しゃぶりというと、親指を吸う赤ちゃんのイメージがありますが、こうきの
場合は人差し指と中指をいっぺんに口に入れるという、なかなか大胆な
ものでした。
小さい頃からずっと続いていて、何度かやめる機会をうかがっていました。
神経科の先生や歯科の先生に相談もしましたが、こうきくんの場合は心を
安定させるためのものだから、無理にやめさせなくてもいい、というお話
でした。
それで、ずっとそのまま放っておいたら、小学校も卒業し、中学になっても
続くので、さすがにこのままでいいのかな?という気になってきました。
指に大きなタコはできているし、常にきれいな状態とは言えません。
学校の先生からも、作業活動が増えて衛生面のこともあるから、そろそろ
やめるように声をかけていったら、と言われましたが、そこからなかなか
変化が見られませんでした。
私が声を掛けると、逆にやだやだ、と指しゃぶりをやめない様子もあって、
これは当分無理かもしれない、とまた放ったらかして忘れた頃に、ふっと
消えていたのです。
あんなにやめられなかったのに、あっけなく無くなってしまったことが、
何だか不思議でした。
中学三年生。
こうきなりに、少しずつ、大人に近づいていっているのかなと感じます。

最近の変化をもう一つ。
家のゴミを、近所のステーションまで持って行ってくれるようになりました。
余計なものは片付けたい、というこだわりがあるのかもしれませんが、
妙に張りきって、家を飛び出して行きます。
忙しい朝に、これはとてもありがたい。
きちんと出せているか、今度こっそりついて行ってみようかと思ってはいる
のですが・・・。
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好きすぎると・・・ [記事]

 先日の日曜日、玄関のチャイムが鳴るので出て行くと、ご近所の若い
ママさん二人が立っていました。
 「実は・・・」
 「ソーラーライトがとても気になるみたいで、何度も触っているうちに、
壊しちゃったみたいで・・・」
 初めは、何のことだかよく理解できなかったのが、玄関先でソーラーラ
イトを持って飛び出してきたこうきを目にしたら、ようやく頭の回路がつ
ながりました。
 (あいつ、よその家のまで・・・)
あわてて謝って、状況を尋ねようとすると、ママたちはすまなそうに言う
のでした。
 「こわれたのは、本当にいいんだけれど、ライトが割れていたから、こう
ちゃん怪我をしてはいけないと思って・・・」
 (割れるほど、壊してしまったんだ)
驚いて、こうきの顔をにらみつけると、もうすでに「まずいことをした」と
わかったのか、
 「さわりません、さわりません、」
 「ひっこし、できる、できる、」
と大騒ぎに。
 悪いことをすると、望みだった引越しができなくなる、という頭があるので
す。が、こうきが騒ぎ出すと収集がつかなくなるので、そこではできる、でき
るよと一旦パニックをおさめ、ママさんたちにはひたすら謝るしかありません
でした。

 まさか、よその家のソーラーライトにまで点検に行っていたとは。
 夕方、何度も外に出て、長い時間戻らないこともあったのですが、自分の家
のライトの点き具合を見回っていると思っていました。本当にうかつだった。
もっと注意が必要だった、と私も反省でした。
 そこで、こうきと約束。
 よその家の庭には勝手に入らない。
 よその家のソーラーライトには絶対にさわらない。
「はいりません!さわりません!」と本人も反省したようでした。

壊してしまったものと同じようなソーラーライトを買い、お菓子も持って、
二軒のお宅に謝りに行くと言うと、こうきも自分から一緒についてきました。
 「ごめんなさい。ごめんなさい。もうやらない、もうしません。」
一緒に謝ることができたのは、立派でした。
 ママさんたちはとても恐縮していましたが、今度こうきが良くないことをし
ていたら、注意してくださいとお願いもできました。
 今度のことは、私自身、大反省でしたが、ご近所の方にこうきのことを知って
もらう、良い機会になったのかもしれません。

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はじめてのおこづかい [記事]

 ソーラーライトに夢中で、毎日いじったり、あちこち刺し替えたりしていたからで
しょうか、夏の前頃から、
 「つかなくなっちゃった。すてる」
と言うことが多くなりました。
 100円ショップやホームセンターに行くと、必ずソーラーライトを欲しがるようになり
ました。壊れたら、すぐに新しいのを買えばいい、という感覚でいるのが見えて、
あまり頻繁に買うのもよくないな、と思い始めていました。
 そこで、自分でおこづかいを貯めて物を買う経験をさせてみることにしました。
自閉症の子育てを描いたコミック、「光とともに・・・」には、主人公の光くんが、家の掃除
や庭の水やりのお手伝いしておこづかいをもらい、そのお金を貯めて自分で好きなお
やつを買う場面が出てきます。
 とりあえず、こうきにできそうなお手伝いは、と考え、自分とわたしたち三人分の布団を
畳んでもらうことにしました。休みの日には洗濯物干しもしてもらう、と決め、一回10円
をおこづかいとして貯めていくことにしました。

 こうきにとって、お手伝いと、10円のおこづかいというのが最初はうまく結びつかない
ようでした。
 専用の財布に10円が貯まっていくと、すぐにソーラーライト買う、と言い始めました。
学校でお金の読み方は教わっていましたが、実際の使い方や価値はよくわかっていな
かったようでした。
 お目当てのソーラーは、三個入り987円。今あるのが50円。まだまだ買えないよ、と
言ってもピンと来ないようなので、カレンダーで説明することに・・・。
 毎日10円だよね、(と書き込む。)ここで100円、ここまできたら200円、8月になった
ら600円、9月〇日でやっと990円だよ。
 こうきもそれを見て、やっと、(これはたいへんだ。買えるのは、果てしなく先のことだぞ、)
と理解したようでした。
 
 それから毎日、多少の雑さはありますが、言われなくても布団が畳んであるのには
感心しました。本人は、9月までカレンダーとにらめっこ。そのうち、あんまりじれったくな
ったのか、カレンダーを「すててもいいですか」と言ってきました。7月は月が終わったら、
8月は途中でカレンダーの紙を破いて捨ててしまいました。
 本当は9月28日が目標達成の日だったのですが、何百円かの臨時収入もあったりし
て・・・ようやく9月18日、日曜日がやってきました。
 何度も下見に行ったホームセンターで、念願の三個入りソーラーライトを手にしました。
あらかじめ広告を見て、何度も確認したものです。
ホワイト色三個入りと、カラー色三個入りがあって、最後までさんざん迷ったのち、ホワイト
三個入りをてにしてレジへ。
 自分の財布からどうしても払うというので、お皿の上に財布の中身を開けました。
山盛りの10円玉でしたが、店員さんは笑顔でゆっくりと数え、990円ですね、と言ってくれ
ました。こうき、おつりをもらい、大満足でソーラーの入った袋をぶら下げ店を出ました。

 帰りの車の中、
 「こうき、ソーラーライト買えてよかったね」「おてつだい、がんばったね」
と声をかけると、
 「がんばりました」
と満足気な返事。
 「おてつだい、長くやったね。いつから始めたんだっけ?」
すると、
 「7月7日、はじめました!」
行事や予定の日付には強いこうきのこと、確かにその頃だったかもしれません。
 本人も、気になっていたことがひとつ終わり、安心した様子でした。
 この3ヶ月のこうき、お手伝いはよく頑張っていたけれど、お金のことや、いつ
買えるのかにこだわりすぎていた気もして、おこづかい制はそこでひと区切り
にしようと、私もほっと一息ついたのでした。





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お祖父ちゃんの入院 [記事]

夏休み前、お祖父ちゃんが転んで尾てい骨を骨折し、入院となってしまい
ました。
他の患者さんのこともあり、こうきを連れて病院にお見舞いに行くのは
躊躇していたのですが、土日の見舞いには家に置いていくわけにもいかず、
一緒に連れていくことにしました。
四人部屋の他の患者さんはみな、お祖父ちゃんと同じような高齢の方々。
あまりうるさくしては、と心配してはいたのですが、案の定、病室に入って、
テレビが設置されているのを見るなり、
 「テレビはみれますか、」
 「BSはうつりますか」、(目下の関心事です)
よーく響き渡る声で連呼します。
やがて隣のベッドの方にも同じ事を尋ね始めるので、強制的に外の談話室
行きに・・・
トイレや他の病室も見たい気持ちがあるようですが、それもアウト!なので、
約束事が増えていきます。
そのうちに、売店でジュースやおやつを買ってもらい、談話室で食べるのが
楽しみのひとつになったようで、
 「びょういん、いきたい」
と、まるでお出かけ気分で病院通いを心待ちにしていました。
 「じいちゃん、うごけますか」
 「じいちゃん、いつ、おうちかえりますか」
何度も聞いてくるのは、お祖父ちゃんに早く帰ってきて欲しいというよりは、
もう少し病院のお見舞いに行きたい(自分のお楽しみを含めて)、という
気持ちがあるからなのでした。

ある時、食事のあと、お祖父ちゃんがおぼつかない手で歯磨きをして
いたところ、突然こうきがその歯ブラシを取って、磨いてあげるということ
がありました。お祖父ちゃんは、素直に口をあけたまま、まんざらでも
なさそうな顔。
 「こうきに、みがいてもらった」
と、嬉しそうでした。
また、歩けないお祖父ちゃんの車椅子姿を見ていたからでしょうか、放課
後デイで、友達の車椅子を押してあげたり、手助けをすることがあったそ
うです。
病院で見聞きしたことは、こうきの糧にもなったのかな。
 
お祖父ちゃんの退院が決まり、二ヶ月近く通った病院に行くのも最後の日。
 「じゃあ、さようなら」
 「病院くるの、これで最後、じゃあー、お世話になりました~」
自分がまるで入院していたかのように、よく通る声で看護師さんや患者さん
たちに手を振ってあいさつしていた、こうきでした。




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ラジオ体操 [記事]

 夏休みです。
 妹が中学生になり、地域のラジオ体操に参加しなくなったので、
ようやく夏の朝、少しゆっくりできると思っていたのに、
 「ラジオたいそう、いきたーい!」
妙に張りきっている人がいます。
 養護学校では、中学部でもラジオ体操のカードが配布されるため、
それを手にすると、もう行かなくてはならないような気になるのでしょうか。
 こちらとしては、小学生の輪のなかに、一人だけ飛び抜けて背の高い
中学生が混じっているのはいかにも目立ってしまう。そんな心配が
頭をよぎり、ついつい「中学生はラジオ体操、行かないんだからね」と
ストップをかけてしまいます。
 それでも、こうき本人は行く気満々、カードにハンコを押してもらう、と
意気込んでいます。前日には明日の着替えとカードをを枕元に用意、
8時半過ぎには布団に入るという、驚くほどの準備の良さなのでした。
翌朝は5時過ぎから目覚めていたようで、私がハッと気がつくと、もう
着替えを済ませ、そのままいつ起きてもいいように寝床でスタンバイ
している様子。
 「何分にラジオたいそう、いきますか」
 「ひとり、行ってもいいですか」 
私が準備するのも待ちきれないようで、先に飛び出していきます。
 体操が行われるスーパーの駐車場までは目と鼻の先なので、
慌てて行ってみると、予想通り、小さな小学生の集団の中に、一人だけ
背の高い半ズボン姿の中学生がおかしな動きをしています。
 体操体操と騒ぐのですが、こうき自身は人の真似をして同じ動きをする
ということが苦手です。運動会や音楽会で、ダンスの振り付けを覚える
のは、なかなかうまくいきません。
 ピョンピョン跳ねたり、手を上げたりするくらいの動きはできるのですが、
もう少し複雑な動きになると、棒立ちのままになってしまいます。たぶん、
戸惑っているのだとは思いますが、そんな風には見えず、ただぼうっとして
いるように見えてしまいます。
 それでも、ラジオ体操第二が終わると、急に生き生きとなり、小学生に
混じってハンコをもらいに駆け出します。ハンコ係の小学生が、さほど気に
せずこうきのカードにハンコを押してくれたのには、ほっとしました。
あの子、何だろう、と振り返る子もいたけれど、こうきのことを見知っている
近所の子たちもいて、なんとなく周りにまぎれていられたことに、私も安心
し、その後の何日間かを一緒に通うことができました。

 こうき本人は、いろんな人と話がしたい。
 「こんにちは~」
あまり行き来のない家の人に、いきなり大声で遠くからあいさつしたり、
 「らいねんラジオたいそう、きますか?」
知り合いの女の子にしつこく尋ねてしまったり。
少しちぐはぐな会話を始めてしまうことに、私はハラハラして、横からストップを
かけたり、口をはさんでしまう。
 なかなか、この子のことをわかってもらうのは難しいと思いながら、そんな
自分の姿勢が、こうきの良さを損なっているのかもしれないと、思い当たった
ときにハッとしました。
 きちんと表に出ていくこと。周りの人たちとかかわりを持ったり、その姿を見て
もらうことは、この先この地域で生きていくのに大切なことです。
 「高等部なっても、ラジオたいそう行きたい!」
 本人が望むなら、来年もラジオ体操に出て行こうと思います。



眠りにつくまでの作法 [記事]

小さい頃からずっと添い寝をしなければ寝られませんでした。
夜、布団に入ってから1時間以上も、モゾモゾ身体を動かしたり、
ひたすら声が出てしまったり、なかなか寝付けないのです。
夜中や朝方に目覚めてしまうこともしばしばでした。
そんな時、こちらの手を取って顔にスリスリしたり、手枕をして眠ると
いうのが安心の習慣で、それがずっと続いていました。

中学生になり、さすがにこのままでいいのか心配になって、寄宿舎の
先生に相談してみました。
先生は、健常のお子さんでも中1や中2ぐらいまではお母さんと一緒
に寝たがることはあるので、それより1年ぐらい先までは許容しても
いいのでは、というお話でした。
むしろ、こうきのような、感覚的な過敏さを持つ子は、昼間いろんなとこ
ろで神経を使って緊張しているので、夜はリラックスすることが必要。
手をつなぐのが好きなら、手のひらをよくもみほぐしてあげるのもいい
ですよ、と言っていただき、今のままでいいんだと、どこか安心もした
のでした。

それがいつからか、添い寝をしなくても一人で布団に入り、眠ることが
できるようになってきました。
気持ちを落ち着かせる薬を飲んでいることもあるかもしれませんが、
年齢的にも自然ななりゆきなのかもしれません。
それでも、時々朝方起きてしまった時には、何かさみしい感じがある
のでしょうか、人の手が欲しくてこちらを探ってきたりもします。
完全にそれが無くなるのは、まだ少し先なのかなと思います。

先日の修学旅行。2泊で東京に行ったのですが、ディズニーランド近くの
ホテルでの宿泊、若い男の先生と友達との三人部屋で泊まることになっ
ていました。
帰ってきてからの、先生のお話。
こうきさん、寝る時になって、電気を点けたまま寝ようとしていたので、
「電気を消して寝るよね。」と言ったら、なんだかソワソワ。
そして言ったのが、
「せんせい、手ぇかしてくれますか。」
まさか男の先生にそれを言うとは・・・
笑えました。
先生も、さすがに手は、と思い、
「もう中学生だからね、ひとりで寝ましょう。」
と言ったそうです。
そんな話のあと、帰り際、先生はこうきに手を差し伸べ、握手をしてくれま
した。
男同士の握手は、とてもいいものでした。

愛しのソーラーライト [記事]

一年ほど前から、ソーラーライトに夢中です。
小さい頃は、電気のスイッチにこだわり、「スイッチ押したら電気が点く」という反応にとてつもなく
魅かれていました。どこに行ってもスイッチに飛びついて、公民館や図書館、病院など、公共の
場所の電気を消してしまい、何度となく怒られたものでした。

ところが、スイッチを押さずしてパッと点く電気があることを発見。
これはものすごい驚きだったに違いありません。
隣の家の軒先についていた自動点灯の電気を、どうしても欲しい!と言ってききません。
うちは外灯が近くにあるので、いらないよ、と言い続けてみたものの、買いたい気持ちは止まらず。
あまりのしつこさに、終に根負けし、庭に刺して使うタイプのソーラーライトを買うことにしました。

100円ショップでも買えるというお手軽さがよかったのですが、実はこのソーラーライト、
なかなかのくせ者でした。
 「ソーラーライト、いつ点きますか?」
暗くなると電気が点くというのは、こうきにとって分かりにくい現象です。
毎日毎日夕方になると、外のライトをずーっと眺めている。いつ点くのか、とても気になって
しまうようでした。
あたりがどのくらい暗くなると点くのか、雨が降っているときは点くのか、いつまでも点かない
のは壊れてしまったのか・・・?
気になることはたくさんあって、長い長い観察期間と質問がずっと、今でも続いています。

休みになると、行きたい場所は公園よりもホームセンター。
真っ先にソーラーライトのコーナーに行き、いろんな形のライトをチェック。ひとつひとつ手に
取り、これが欲しいあれが欲しいと言い始めます。必ず大きいライトを持ち出すので、こんなに
大きいのはだめ、こっちの小さいので、と交渉が始まり・・・結局小さいのを買うハメに。
そうやって粘り強く集めた戦利品を庭のあちこちに刺し、夕方その光を眺めるのが楽しみに
なっているようです。

何度も何度も点いた頃を見計らっては、庭に出て行く。
土に顔をつけるようにして下からのアングルで見たり、DSで写真撮影をしたり、何度もライトの
位置を差し替えてはまた眺めたり、本当に楽しそう。
実際の明かりを見ると、なかなかの趣で、夢中になるのも少しわかる気がするのでした。

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あづみの公園 [記事]

ゴールデンウイーク中、こうきの希望であづみの公園へ行ってきました。
お祖母ちゃんが亡くなった前年に皆で行って以来、4年ぶりのあづみの公園でした。
あの頃はこうきも小学4年生。
落ち着かなく動き回っていたし、毎日のルーティンが変えられなくて、本人も周りも
苦しい時期でした。
あづみの公園で思いっきり遊んだからいいかと思ったのに、どうしてもいつもの近所
の公園に行かないと気が済まず、何度なだめすかしてもダメで・・・
公園のはしごで身体も心もクタクタになったのを思い出します。

久しぶりのあづみの公園は新緑が輝き、気持ちいい風が吹いていました。
あの頃よりだいぶ背が伸びたこうきは、身体が大きくなった分だけ、私たちと一緒に
ゆっくりと歩けるようになったようです。

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