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はじめてのおこづかい [記事]

 ソーラーライトに夢中で、毎日いじったり、あちこち刺し替えたりしていたからで
しょうか、夏の前頃から、
 「つかなくなっちゃった。すてる」
と言うことが多くなりました。
 100円ショップやホームセンターに行くと、必ずソーラーライトを欲しがるようになり
ました。壊れたら、すぐに新しいのを買えばいい、という感覚でいるのが見えて、
あまり頻繁に買うのもよくないな、と思い始めていました。
 そこで、自分でおこづかいを貯めて物を買う経験をさせてみることにしました。
自閉症の子育てを描いたコミック、「光とともに・・・」には、主人公の光くんが、家の掃除
や庭の水やりのお手伝いしておこづかいをもらい、そのお金を貯めて自分で好きなお
やつを買う場面が出てきます。
 とりあえず、こうきにできそうなお手伝いは、と考え、自分とわたしたち三人分の布団を
畳んでもらうことにしました。休みの日には洗濯物干しもしてもらう、と決め、一回10円
をおこづかいとして貯めていくことにしました。

 こうきにとって、お手伝いと、10円のおこづかいというのが最初はうまく結びつかない
ようでした。
 専用の財布に10円が貯まっていくと、すぐにソーラーライト買う、と言い始めました。
学校でお金の読み方は教わっていましたが、実際の使い方や価値はよくわかっていな
かったようでした。
 お目当てのソーラーは、三個入り987円。今あるのが50円。まだまだ買えないよ、と
言ってもピンと来ないようなので、カレンダーで説明することに・・・。
 毎日10円だよね、(と書き込む。)ここで100円、ここまできたら200円、8月になった
ら600円、9月〇日でやっと990円だよ。
 こうきもそれを見て、やっと、(これはたいへんだ。買えるのは、果てしなく先のことだぞ、)
と理解したようでした。
 
 それから毎日、多少の雑さはありますが、言われなくても布団が畳んであるのには
感心しました。本人は、9月までカレンダーとにらめっこ。そのうち、あんまりじれったくな
ったのか、カレンダーを「すててもいいですか」と言ってきました。7月は月が終わったら、
8月は途中でカレンダーの紙を破いて捨ててしまいました。
 本当は9月28日が目標達成の日だったのですが、何百円かの臨時収入もあったりし
て・・・ようやく9月18日、日曜日がやってきました。
 何度も下見に行ったホームセンターで、念願の三個入りソーラーライトを手にしました。
あらかじめ広告を見て、何度も確認したものです。
ホワイト色三個入りと、カラー色三個入りがあって、最後までさんざん迷ったのち、ホワイト
三個入りをてにしてレジへ。
 自分の財布からどうしても払うというので、お皿の上に財布の中身を開けました。
山盛りの10円玉でしたが、店員さんは笑顔でゆっくりと数え、990円ですね、と言ってくれ
ました。こうき、おつりをもらい、大満足でソーラーの入った袋をぶら下げ店を出ました。

 帰りの車の中、
 「こうき、ソーラーライト買えてよかったね」「おてつだい、がんばったね」
と声をかけると、
 「がんばりました」
と満足気な返事。
 「おてつだい、長くやったね。いつから始めたんだっけ?」
すると、
 「7月7日、はじめました!」
行事や予定の日付には強いこうきのこと、確かにその頃だったかもしれません。
 本人も、気になっていたことがひとつ終わり、安心した様子でした。
 この3ヶ月のこうき、お手伝いはよく頑張っていたけれど、お金のことや、いつ
買えるのかにこだわりすぎていた気もして、おこづかい制はそこでひと区切り
にしようと、私もほっと一息ついたのでした。





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お祖父ちゃんの入院 [記事]

夏休み前、お祖父ちゃんが転んで尾てい骨を骨折し、入院となってしまい
ました。
他の患者さんのこともあり、こうきを連れて病院にお見舞いに行くのは
躊躇していたのですが、土日の見舞いには家に置いていくわけにもいかず、
一緒に連れていくことにしました。
四人部屋の他の患者さんはみな、お祖父ちゃんと同じような高齢の方々。
あまりうるさくしては、と心配してはいたのですが、案の定、病室に入って、
テレビが設置されているのを見るなり、
 「テレビはみれますか、」
 「BSはうつりますか」、(目下の関心事です)
よーく響き渡る声で連呼します。
やがて隣のベッドの方にも同じ事を尋ね始めるので、強制的に外の談話室
行きに・・・
トイレや他の病室も見たい気持ちがあるようですが、それもアウト!なので、
約束事が増えていきます。
そのうちに、売店でジュースやおやつを買ってもらい、談話室で食べるのが
楽しみのひとつになったようで、
 「びょういん、いきたい」
と、まるでお出かけ気分で病院通いを心待ちにしていました。
 「じいちゃん、うごけますか」
 「じいちゃん、いつ、おうちかえりますか」
何度も聞いてくるのは、お祖父ちゃんに早く帰ってきて欲しいというよりは、
もう少し病院のお見舞いに行きたい(自分のお楽しみを含めて)、という
気持ちがあるからなのでした。

ある時、食事のあと、お祖父ちゃんがおぼつかない手で歯磨きをして
いたところ、突然こうきがその歯ブラシを取って、磨いてあげるということ
がありました。お祖父ちゃんは、素直に口をあけたまま、まんざらでも
なさそうな顔。
 「こうきに、みがいてもらった」
と、嬉しそうでした。
また、歩けないお祖父ちゃんの車椅子姿を見ていたからでしょうか、放課
後デイで、友達の車椅子を押してあげたり、手助けをすることがあったそ
うです。
病院で見聞きしたことは、こうきの糧にもなったのかな。
 
お祖父ちゃんの退院が決まり、二ヶ月近く通った病院に行くのも最後の日。
 「じゃあ、さようなら」
 「病院くるの、これで最後、じゃあー、お世話になりました~」
自分がまるで入院していたかのように、よく通る声で看護師さんや患者さん
たちに手を振ってあいさつしていた、こうきでした。




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ラジオ体操 [記事]

 夏休みです。
 妹が中学生になり、地域のラジオ体操に参加しなくなったので、
ようやく夏の朝、少しゆっくりできると思っていたのに、
 「ラジオたいそう、いきたーい!」
妙に張りきっている人がいます。
 養護学校では、中学部でもラジオ体操のカードが配布されるため、
それを手にすると、もう行かなくてはならないような気になるのでしょうか。
 こちらとしては、小学生の輪のなかに、一人だけ飛び抜けて背の高い
中学生が混じっているのはいかにも目立ってしまう。そんな心配が
頭をよぎり、ついつい「中学生はラジオ体操、行かないんだからね」と
ストップをかけてしまいます。
 それでも、こうき本人は行く気満々、カードにハンコを押してもらう、と
意気込んでいます。前日には明日の着替えとカードをを枕元に用意、
8時半過ぎには布団に入るという、驚くほどの準備の良さなのでした。
翌朝は5時過ぎから目覚めていたようで、私がハッと気がつくと、もう
着替えを済ませ、そのままいつ起きてもいいように寝床でスタンバイ
している様子。
 「何分にラジオたいそう、いきますか」
 「ひとり、行ってもいいですか」 
私が準備するのも待ちきれないようで、先に飛び出していきます。
 体操が行われるスーパーの駐車場までは目と鼻の先なので、
慌てて行ってみると、予想通り、小さな小学生の集団の中に、一人だけ
背の高い半ズボン姿の中学生がおかしな動きをしています。
 体操体操と騒ぐのですが、こうき自身は人の真似をして同じ動きをする
ということが苦手です。運動会や音楽会で、ダンス振り付けを覚える
のは、なかなかうまくいきません。
 ピョンピョン跳ねたり、手を上げたりするくらいの動きはできるのですが、
もう少し複雑な動きになると、棒立ちのままになってしまいます。たぶん、
戸惑っているのだとは思いますが、そんな風には見えず、ただぼうっとして
いるように見えてしまいます。
 それでも、ラジオ体操第二が終わると、急に生き生きとなり、小学生に
混じってハンコをもらいに駆け出します。ハンコ係の小学生が、さほど気に
せずこうきのカードにハンコを押してくれたのには、ほっとしました。
あの子、何だろう、と振り返る子もいたけれど、こうきのことを見知っている
近所の子たちもいて、なんとなく周りにまぎれていられたことに、私も安心
し、その後の何日間かを一緒に通うことができました。

 こうき本人は、いろんな人と話がしたい。
 「こんにちは~」
あまり行き来のない家の人に、いきなり大声で遠くからあいさつしたり、
 「らいねんラジオたいそう、きますか?」
知り合いの女の子にしつこく尋ねてしまったり。
少しちぐはぐな会話を始めてしまうことに、私はハラハラして、横からストップを
かけたり、口をはさんでしまう。
 なかなか、この子のことをわかってもらうのは難しいと思いながら、そんな
自分の姿勢が、こうきの良さを損なっているのかもしれないと、思い当たった
ときにハッとしました。
 きちんと表に出ていくこと。周りの人たちとかかわりを持ったり、その姿を見て
もらうことは、この先この地域で生きていくのに大切なことです。
 「高等部なっても、ラジオたいそう行きたい!」
 本人が望むなら、来年もラジオ体操に出て行こうと思います。



眠りにつくまでの作法 [記事]

小さい頃からずっと添い寝をしなければ寝られませんでした。
夜、布団に入ってから1時間以上も、モゾモゾ身体を動かしたり、
ひたすら声が出てしまったり、なかなか寝付けないのです。
夜中や朝方に目覚めてしまうこともしばしばでした。
そんな時、こちらの手を取って顔にスリスリしたり、手枕をして眠ると
いうのが安心の習慣で、それがずっと続いていました。

中学生になり、さすがにこのままでいいのか心配になって、寄宿舎の
先生に相談してみました。
先生は、健常のお子さんでも中1や中2ぐらいまではお母さんと一緒
に寝たがることはあるので、それより1年ぐらい先までは許容しても
いいのでは、というお話でした。
むしろ、こうきのような、感覚的な過敏さを持つ子は、昼間いろんなとこ
ろで神経を使って緊張しているので、夜はリラックスすることが必要。
手をつなぐのが好きなら、手のひらをよくもみほぐしてあげるのもいい
ですよ、と言っていただき、今のままでいいんだと、どこか安心もした
のでした。

それがいつからか、添い寝をしなくても一人で布団に入り、眠ることが
できるようになってきました。
気持ちを落ち着かせる薬を飲んでいることもあるかもしれませんが、
年齢的にも自然ななりゆきなのかもしれません。
それでも、時々朝方起きてしまった時には、何かさみしい感じがある
のでしょうか、人の手が欲しくてこちらを探ってきたりもします。
完全にそれが無くなるのは、まだ少し先なのかなと思います。

先日の修学旅行。2泊で東京に行ったのですが、ディズニーランド近くの
ホテルでの宿泊、若い男の先生と友達との三人部屋で泊まることになっ
ていました。
帰ってきてからの、先生のお話。
こうきさん、寝る時になって、電気を点けたまま寝ようとしていたので、
「電気を消して寝るよね。」と言ったら、なんだかソワソワ。
そして言ったのが、
「せんせい、手ぇかしてくれますか。」
まさか男の先生にそれを言うとは・・・
笑えました。
先生も、さすがに手は、と思い、
「もう中学生だからね、ひとりで寝ましょう。」
と言ったそうです。
そんな話のあと、帰り際、先生はこうきに手を差し伸べ、握手をしてくれま
した。
男同士の握手は、とてもいいものでした。

愛しのソーラーライト [記事]

一年ほど前から、ソーラーライトに夢中です。
小さい頃は、電気のスイッチにこだわり、「スイッチ押したら電気が点く」という反応にとてつもなく
魅かれていました。どこに行ってもスイッチに飛びついて、公民館や図書館、病院など、公共の
場所の電気を消してしまい、何度となく怒られたものでした。

ところが、スイッチを押さずしてパッと点く電気があることを発見。
これはものすごい驚きだったに違いありません。
隣の家の軒先についていた自動点灯の電気を、どうしても欲しい!と言ってききません。
うちは外灯が近くにあるので、いらないよ、と言い続けてみたものの、買いたい気持ちは止まらず。
あまりのしつこさに、終に根負けし、庭に刺して使うタイプのソーラーライトを買うことにしました。

100円ショップでも買えるというお手軽さがよかったのですが、実はこのソーラーライト、
なかなかのくせ者でした。
 「ソーラーライト、いつ点きますか?」
暗くなると電気が点くというのは、こうきにとって分かりにくい現象です。
毎日毎日夕方になると、外のライトをずーっと眺めている。いつ点くのか、とても気になって
しまうようでした。
あたりがどのくらい暗くなると点くのか、雨が降っているときは点くのか、いつまでも点かない
のは壊れてしまったのか・・・?
気になることはたくさんあって、長い長い観察期間と質問がずっと、今でも続いています。

休みになると、行きたい場所は公園よりもホームセンター。
真っ先にソーラーライトのコーナーに行き、いろんな形のライトをチェック。ひとつひとつ手に
取り、これが欲しいあれが欲しいと言い始めます。必ず大きいライトを持ち出すので、こんなに
大きいのはだめ、こっちの小さいので、と交渉が始まり・・・結局小さいのを買うハメに。
そうやって粘り強く集めた戦利品を庭のあちこちに刺し、夕方その光を眺めるのが楽しみに
なっているようです。

何度も何度も点いた頃を見計らっては、庭に出て行く。
土に顔をつけるようにして下からのアングルで見たり、DSで写真撮影をしたり、何度もライトの
位置を差し替えてはまた眺めたり、本当に楽しそう。
実際の明かりを見ると、なかなかの趣で、夢中になるのも少しわかる気がするのでした。

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あづみの公園 [記事]

ゴールデンウイーク中、こうきの希望であづみの公園へ行ってきました。
お祖母ちゃんが亡くなった前年に皆で行って以来、4年ぶりのあづみの公園でした。
あの頃はこうきも小学4年生。
落ち着かなく動き回っていたし、毎日のルーティンが変えられなくて、本人も周りも
苦しい時期でした。
あづみの公園で思いっきり遊んだからいいかと思ったのに、どうしてもいつもの近所
の公園に行かないと気が済まず、何度なだめすかしてもダメで・・・
公園のはしごで身体も心もクタクタになったのを思い出します。

久しぶりのあづみの公園は新緑が輝き、気持ちいい風が吹いていました。
あの頃よりだいぶ背が伸びたこうきは、身体が大きくなった分だけ、私たちと一緒に
ゆっくりと歩けるようになったようです。

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スーパーあずさ乗りたい [記事]

お兄ちゃんが春から社会人となり、埼玉に住むことになりました。
そこで春休み、下見がてら家族で東京方面に遊びに行くことに。
こうきは一ヶ月も前から、特急あずさに乗れるとソワソワしていました。
しょっちゅう見ている時刻表はほとんど頭に入っているようで、行きは何時発に
乗るのか、帰りは何日の何時に乗るのかとずっと質問攻め。
本人はなるべく早く行きたいので、
「6時のあずさ乗りたい。」
「8時はだめですか。」
あまりにしつこく言い続けるので、それに答えているうちに、こうきのぺースに
乗せられ自然と計画が出来上がっていた、という次第です。
おまけに本人はどうしてもスーパーあずさに乗りたいと気が済まないらしい。
スーパーあずさの新型車両が登場するかも?という情報をどこかで聞いて知って
いたらしく、切符を取るときにちゃっかり駅員さんに、
「あたらしいあずさですか?」
と確認していました。結局はまだ旧式のみでちょっと残念そうでしたが、
普通のあずさよりスーパーあずさのほうが本人にとっては断然ランクが上のよう
なのでした。
こちらは振り子で走るスーパーあずさは気分が悪くなるので避けたかったのに、
いつの間にか帰りはスーパーの指定席で帰るはめになっていたのでした・・・

思えば、こうきが小さい頃は東京に暮らしていたので、何度もあずさには乗った
けれど、とにかく座席に座っていることが難しくて、苦労しました。
3時間近くを、デッキと座席の間を何度も何度も往復することに明け暮れていま
した。
床に新聞紙を敷いてずっと寝転がっていた時期もあったし、近くのお客さんに、
「いいかげんにしろ」と怒鳴られてしまったこともありました。
それが、今ではゆっくりと窓の外を眺めながら、列車の旅を楽しむことができる
ようになった。
あの頃には想像できなかったことです。

帰りのスーパーあずさでは、本人なりに感激があったのか、自分のゲーム機で
車内を何度も記念撮影動画もかなり撮っていたようです。
家に帰ってきてから動画をDVD化したい!と騒ぎ出し、おさめるのに一苦労
でした。

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音楽学芸会 [記事]

養護学校では、2月のこの時期に音楽学芸会が行われます。
小学部から毎年、子どもたちのステージを見てきて、今年が8年目。
小さくてかわいらしかった1年生からすると、ずいぶん成長したものです。
その時の演奏は「はらぺこあおむし」。みんなで、あおむしくんになった姿、
愛らしかったなあ・・・

今年の中2生のテーマは「宇宙」。
手作りの宇宙服を着ての演奏が始まります。
最初の曲は「宇宙戦艦ヤマト」。みんな勇ましく歌い始めます。
こうき、歌はあまり得意ではないので、(たぶん難しい歌詞にはついていけない)
ほとんど立っているだけ、というのが今までの姿でしたが、今年はひとあじ
違っていました。
「かならーずここへー、かえーってくるとー」
そこだけ明らかに、ちょっとはずれた音のこうきの声が目立っていました。
それから、
「うちゅーうせんかん、や~ま~と~」
のところ、さらに声張り上げています。おお、歌っている。
次は、「スターウォーズ」テーマ曲の合奏。
さっと鍵盤ハーモニカの前に座ると、一生懸命、メロディを弾きはじめました。
人差し指ながら、まわりの音に真剣に合わせようとする様子が。
こんな風にできるようになるなんて・・・思いがけない姿でした。
最後の曲「銀河鉄道999」。
みんなでかっこよくダンスを踊り始めたのですが、これもいつになく動けて
いる!
まわりの友達に比べたらぎこちないですが、手を上げたり、リズムを打ったり
左右に揺れたり、所々ながら、何となく同じようにできているのです。
人の動作を模倣するのはこうきにとっては苦手なことのようで、あまりダンス
もやりたがらなかったのですが、これも驚きでした。
低学年の頃、ステージにじっと立っていることができず、気になる場所へと
動き回ってしまったこともあったし、嫌になって寝転がっていたこともあった。
今こんな風にステージに上れるということがわかっていたなら、あの頃
あんなに心配することもなかったのに。

今年の音楽学芸会の日は、ちょうどおばあちゃんの命日でした。
確かあの年、亡くなる2日前にも、こうきの音楽会を見に来てくれたのでした。
ふたり並んで、こうきの姿をステージに探しました。
 「あ、あそこ、いたいた。」
 「なんとか、やってるじゃん。」
まあまあ、こうきにしては上出来だ、といういつもの会話でしたが、今思えば、
あれは楽しい時間でした。
あれから4年。
こんな成長したこうきの姿も、見てもらいたかったなあ・・・と思います。



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放課後クラブ [記事]

養護学校の下校時間は午後3時。小学部から高等部まで同じです。
小学部はともかく、高等部になっても下校が3時というのは、早いなあという気がします。
子ども本人は、長い夕方の時間を持て余してしまうし、仕事を持つ母にとっても、放課後
過ごし方をどうするのかは頭の痛い問題です。
健常の子どもなら、地元の児童館に行くことができますが、障害のある子どもの受け入れは
ほとんどされていません。同じ養護学校のお母さんで、市に直訴して児童館の支援体制を
整えてもらい、ようやく受け入れが実現したという話を聞きました。いずれにせよ、例外を認
めてもらうには、母のかなりの頑張りが必要です。

こうきが小学校低学年の頃は、レスパイトケア(家族の休息時間の確保)という扱いで、
預かっていただける場所が1ヶ所だけありました。下校時、学校へのお迎えから午後4時半
までというわずかな時間でしたが、少しでも見てもらえるというのはとても助かりました。
その頃、毎日公園に行かなくては気がすまないこうきに付き合うのは、なかなか大変なこと
で、夕方の時間はいつもあわただしく、余裕がなかったことを思い出します。

あれから何年か経ち、中学部になった今では、預かりの場所もずいぶん増えました。
現在こうきには、平日放課後の児童デイサービスで3ヵ所、タイムケア扱いで休日の長時間
預かりをお願いする場所が1ヶ所と、多くの居場所ができました。
その中のひとつ、学校内の同窓会館に設けられている放課後クラブは、中学部から利用する
ことができ、こうきも早速入学後、週2回通うようになりました。
学校の中にあるという安心感と、地元の児童クラブ的な雰囲気が本人も気に入っている様子。
サッカーバスケ、簡単なスポーツ教室で身体を動かしたり、公園に散歩に行ったり、
室内でゲームやカラオケしたり、おやつ作りをしたり・・・・。
毎回様々な活動が計画されていて、同じ学校の仲間やスタッフの方々とそれなりに一緒に楽
しんでいるようです。
小学部の頃はそうした活動の輪に入ることすら難しかったことを思うと、「やりたい」「いきたい」
という意欲や「たのしみ」という言葉が本人の口から出てきたことはありがたいなあと思います。

放課後クラブを含むさまざまな支援の場所でいろんな経験をさせてもらえること、そこでこうきが
たくさんの方々とつながりを持ちながら楽しい時間を過ごせることに、本当に感謝したいと思い
ます。

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ニャーちゃんと [記事]

ウチに子猫が来てから3年。
最初はおそるおそるだった猫との暮らしにも、だいぶ慣れてきたこうきです。
動物に興味はあるけれど、なんだか怖いから、近所の犬や猫に水をかけたり、
石を投げてしまったり、そんな時期があったのがうそのようです。
 「ニャーちゃん、なでなで。」
 「ニャーちゃん、かわいそう~(かわいい、の意味です)。」
何かを可愛いと思う気持ちが出てきたのは驚きでした。

今では、よく猫を抱っこしては胸の上に乗せ、ふわふわした感覚を楽しんで
いるようです。当の猫は寝ているところを起こされ、不機嫌な様子ながらも、
こうきの胸の上ではじっと我慢してくれて?います。

 「ニャーちゃん、ひっこしできますか。」
引越しはしたいけれど、ニャーちゃんを連れていけるかどうか心配。
 「ニャーちゃんはひっこしできません。ニャーちゃんはこの家が好きだから。」
と言うと、しばらくじっと考えています。
お祖母ちゃんが亡くなってからの三年。さみしくなりがちな家の空気を、猫の
存在が少し和らげてくれました。
大事な相棒と離れるのはさみしいぞ。
相棒のために、引越しは思いとどまってくれればいいのに、と思うこの頃です。
 

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